日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

運命的女

ロサリオの鋏 (Modern & classic)



『ロサリオの鋏』ホルヘ・フランコ



ちょっとガルシア・マルケスに浮かされた頭で書店を彷徨っていた中、

“第二のマルケス”というキャッチコピーに惹かれて、手に取りました。

中南米、コロムビアでは大ベストセラーとなったという、今作。





ひとりの、どうしようもない女。

だけど、どうしようもなく魅力的な女。





コロムビアのとある都市を舞台にした“裏社会”に生きるその女=ロサリオと、

それを取りまく男たち、事象。

それが、彼女に想いを寄せるひとりの青年の、回想&独白で綴られています。



結構、少女漫画的?というか、映画になりそうな物語で、

読んでいてすごく映像的というか、画が目に浮かぶよう。

ほんと、『アモーレス・ペロス』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(すごい名前だ)監督あたりが映画化したら、

すごく観てみたい! というか、ぜひ映像化希望!!!というくらい。





原書は、いわゆる“マフィア用語から生まれた若者口語”で書かれているそうで、

それもあってか、本国では大ヒットしたようなのですが、

正直、日本語訳が…………………………個人的にはちょっと、微妙でございました。

語彙とか、感覚がちょっと古いというのか……、

そういう物語のわりに言葉が堅すぎるというのか。

それゆえに、尚更、映像化されたものを観てみたいなー、なんて。

それでも、やっぱり読んでいて世界に引き込まれるし、

そのファム・ファタールたるロサリオが、

“得体の知れない魅力”を持ってることが伝わってきて、

“目が離せない!”気分になれたし、

かつ語り手であるその恋する青年の“切なさ”に感情移入しやすかったのも、ひとつかな、と。

やはり、“物語そのもの”の持つ力が、圧倒的だったということなのでしょう。

ただ、手法として分りづらいところもあるので(ワザとだろうけど)、

逆に“物語に入り込めない!”とか、苦手意識を持つ人もいそうですけども。

単に、私には結構すんなりくる手法だったからこその、この感想かもしれませんが。

それにしても。

ほんと、映画化とかされないかしら……

もちろん、主役にはガエル・ガルシア・ベルナル君希望!(笑)。←こればっかり。

でも、これはロサリオ役の女優さんで、命運を分けそうなので難しそうかなー。

そんなこんなで、私的には、いろんな楽しみ方の出来る物語でした。