日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

蛇足よりは不足の美

好き好き大好き超愛してる。

舞城王太郎の新刊、『好き好き大好き超愛してる。』を読み始めました。

この作品は、こないだの芥川賞候補にもあがったものですが。

噂によると、舞城氏が『世界の中心で、愛をさけぶ』に対抗して書いたとかなんとか?

(ほんとに、単なる噂かもですけど……)

確かに題材は、「愛する彼女が先に逝ってしまう男たち」の話。

ファンタジー的なものから、比較的現実っぽいもの(?)まで、

いくつかのお話で構成されています。

とりあえず、最初の第一遍が藤田貴美の大昔の漫画「赤い群集」を彷佛とさせ、

「おや?」と思ったり。

多分わざとなんでしょうけど、既視感ある設定の話とかもあって。

でもまあ、相変わらずの舞城節で、すらすらと読んではいたのですが。

なんかもう、一番ひっかかってしまったのは、

書籍に挿入されているイメージイラストですよ。

正直……ほんっと正直、初見「何これ?」と思ってしまい、

最初は全く見ずに黙殺。

でもって、読み終わってから

「こんなもん描いたの誰だよ!?」と思ってクレジット確認したら、

舞城氏本人の筆でございました……。





舞城氏は、覆面作家としてその詳細なプロフィールは明らかにされてないわけですが。

このイラストを見た瞬間、私は「女性なのか!?」と思ってしまいました。

私と舞城氏は同じ歳なんですが、見て「なるほど!」と思ってしまったというか、

その影響源とか「自分で自分の小説のイメージイラストを描いてしまう」というその行為とかから、

なんかもう、「同年代の同性だな……」と思ってしまったといいますか(苦笑)。

(これで男性だったら、私の感覚は全然駄目、ってことだろうと思うんですがね……

 ただ、あのイラストのああいう世界観とか空気感は、女性のもののような気がするので……)





私、お恥ずかしながら

今まで舞城氏のハードカバーを手にしたことがなくて(『阿修羅ガール』さえも……)、

今回初めて手にとり、購入したわけですが、

これまでもああいうイラストって収録されてたんでしょうか?

ううーん、正直、今まですっっっっっっっかり男性だと思って読んできてたもので、

すっごい驚いてしまったというか、

正直、あのイラストで萎えてしまったのことよ…………。

個人的には、小説の世界観は、活字の中で完成させておいて欲しいなぁ、といったところ。

(挿絵とか、そういうものは私は全然要らない主義の人間なので……)

っていうか、作者自らイメージイラストは…………ううーん……。







とりあえず、『好き好き大好き超愛してる。』は、面白く読めたし、

舞城氏の掲げたテーマと主張には、とても感じることがあったのですが。

嗚呼。

それにしても、ひとつ蛇足だったよ……。

小説そのものは、結構好きなんだけどなぁ…………。



同時収録の『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン』は、未読。

というか、雑誌に発表された時にパラ読みして

「あー、相変わらずグロいっすー」と思ったので、

精神的に読めそうな時に読みます(笑)。