日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

桃源郷に生きてみたい

西瓜糖の日々 (河出文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)



ここ数日で、ブローティガンを2冊読了。

作者に関してほとんど知識が無かったのですが(不勉強)、

ちょこちょこ名前をきくので興味を持っていたのです。

60年代〜70年代に活躍した方だったのですね。

(そしてこれらの作品も、当時に書かれている)

読んでみたら、個人的にはとても好きな雰囲気の世界でした。

この2作は、

基本的に閉じてる世界を持った主人公(とその周辺)が描かれていて。

テーマ的には、彼(ら)と“外の世界”との葛藤?なのでしょうか……

ただ、基本的に主人公の状況の羅列というか、

明快な解答はなされずに物語りは終了。

(「愛のゆくえ」は、主人公が外の世界に放りだされたところで終わりですが)

“そこから先”は、読んだ貴方が考えor歩みだしてね?ということなのだろうか?



とりあえず、「自分に対してあんまり疑問も抱いてない主人公」に対して

ちょっとイライラさせられたりする人もいそうかも……。

(というか、私はちょっとそうだった(笑))

或いは、それに自分を投影してちょっと自省する人もいるかもですね。

なんというか、

彼ら、主人公たちのいる世界はとても居心地が良さそうだし、とても満ち足りていて、

読みながら想像するだけで、

とても“ふわふわ”した気持ちにはなれるのだけど。

そして、それが読んでいてとても心地よいのだけど。

でも、「それだけじゃダメだ」という気にもさせてくれるというか。

(というか、そんな世界、そもそも有り得ないよ、ということは明白なのだが)



そんなこんなで、うん、とても興味深い作品たちでした。

どうやら、ブローティガンが描いたそういう世界観が

丁度ヒッピームーブメントと合致して、

まさに「ヒッピームーブメントの寵児」としてもてはやされたらしいですね。

そしてそのブームが去ると同時に、その評価も落ちていってしまったとか……。

でも、最近の、なんとなく“閉じがち”な現代人(私を含め)には、

受け入れられやすい作品なような気がします。