翻弄されるしかない存在
見逃してしまっていたテオ・アンゲロプロス『エレニの旅』を
やっと観てきました。
“とにかく重くてしんどい話だ”と聞いていたので
「精神的に元気なときに…」とか思っていたら、公開終わってしまって。
吉祥寺バウスシアターでのアンゲロプロス特集で、やっと。
確かに。
とても重くて、切ない作品でした。
「火薬庫」とさえ言われたバルカン半島。
少女エレニは、ひたすら運命に翻弄される。
次々と彼女を襲う不幸に、息が詰まりそうになりながら。
長回しで収められた余りにも美しい映像に、息を呑みながら。
戦争という逃れられない現実に振り回されるギリシャという国家と、
結果生まれた、おそらく数え切れないほどの不幸を想う。
エレニのような女性はたぶん、当時無数に存在したのだろう。
否。
多分、現在も、彼女のような思いをしている民は居るのだろう。
“戦争”という現実がある限り。
………………これから近い未来、
日本にも、あんな思いをする人が生まれてしまう可能性はどのくらい?
そうならないために。
考えろ。