日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

その、瞬間

昨年から引き続き
『名匠の仕事を観よう』キャンペーン(?)中につき、
2005年カンヌ/パルムドールを獲った
タルデンヌ兄弟の『ある子供』を観に恵比寿ガーデンシネマへ。



ある子供、が、
ある子供、をきっかけに、
ひとつ、成長する瞬間を捕らえた物語。



例によって不勉強なので
彼らの作品を観るのは初めてだったのだけど。
なんていうか、ほんと、洗練されてるんですねぇ。
無駄がひとつもない。
特に印象深かったのは、BGMが全くないというところ。
確かに、私たちの生活を考えても、
感情や状況によって音楽があんな風に鳴り響いたりする訳はなく。
特にこの作品に関しては、
とりわけリアルに主人公・ブリュノの姿を追っていて。
その“無音”によって、
観る側も、強い現実味を持って、彼の姿を受け止めざるを得なくて。
スクリーンの向こうの話なのに、
それは決して他人事ではなく。
これは、今、目の前に起きていること。


年初頭から、重たくも美しい一本でした。