日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

怪物の正体


ポン・ジュノ監督『グエムル〜漢江の怪物〜』を観る。
ずっとずっと、楽しみにしてたのです!
もう、とにかく私はポン・ジュノ監督作品に参っていて。
だいぶ前に「次回作は、怪獣物!」と目にした時は
「えええー?(大丈夫かよー)」と思ったのだけど、
きっと、絶対やらかしてくれるに違いない!とも感じたのでした。
そして、その予感はやっぱりその通りだった!
あー、もう、やっぱり好きだ。この人の映画。
※以下、ネタバレの恐れアリ



とにかく、冒頭シークエンスに尽きるんだと思うわけです。
「米国人上司の言うままに、ホルマリンを投棄した韓国人部下」


結果、生まれ出でた異形の物体。
ソイツに可愛い娘(或いは孫娘、あるいは姪)を攫われ、
立ち向かわざるを得なくなった
まるで社会の底辺に居るかのような“ダメ家族”。
バラバラであった彼らが、一致団結する。
が、社会は彼らに手を貸してはくれないのだ……。



“THE HOST(宿主)”とは、英題だけれど。
一体、何に寄生されてるのか。
目に見えない“ウイルス”に惑わされ、踊らされる人々。
目に見えるものよりも、目で見てきた人間の言葉よりも。
信じられるものとは?
“信じなくてはならない”ものとは?
そんなもの、あるのか?
“宿主”たる怪物に込められた暗喩。
ソイツが飲み込んだもの。
そして、失われたもの。



単純に
“ダメ家族が怪物に立ち向かっていく”エンタテインメントとしても、
充分、楽しめるけれど。
(でも韓国的笑い?は、やっぱり独特の温度感とノリがあるなーとは思う)
それ以外の部分で。
イチイチ、辛辣です。
“笑い”に包んでいるのに、かえってそのシニカルさが浮き立ってくる、そのセンス。
流石だなぁ。
あー、もう、ほんと好き。
とりあえず、ちゃんと劇場で観れて良かった良かった。
今後も、ポン・ジュノ監督作品は、ちゃんと追いかけていきたいなー。
次は、一体どんな一手をうってくるんだろう……。