日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

映画漬け

今日は2本だて。
まずは、テオ・アンゲロプロスの名作「旅芸人の記録」。
近代ギリシャの悲劇的歴史と、
ギリシャ神話の人物名をあてられた、とある芸人一座の悲劇を重ね合わせた物語。
なんと3時間52分の長尺!
淡々としながらも、綴られている内容は当然ながらどうしようもなく劇的。
アンゲロプロスといえば」と言われる長回しなどの技法も、すでに冴えていて。
とにかく、ただただ圧倒されました...
凄いなぁ、本当に。ただただ、凄い。
去年の「エレニの旅」もテーマ的には共通していて
さすがに30年近い年月を経ているからか、
やはり演出も展開も洗練されていたような気がするので、
「物語」的な部分で受けた衝撃は、「エレニ」の方が大きかったかなぁ...
(特に、主人公のエレニに感情移入しやすかった、というのもあるかもしれないけれど)
とにかく、観ていて色んな感覚を刺激されて興味深かったし、
「映画って総合芸術!」と言われる所以が詰まってる作品だと思いました。
どっと疲れはしたけれども(苦笑)。


そのあとは、レイトショーで「悪魔とダニエル・ジョンストン」。
天性のセンスでもって一躍話題を攫いながらも、心の病に冒されて、現在も闘病中...という、
ある意味"伝説的”シンガー・ソングライターのドキュメンタリー。
私はその背景を一応、知識としては知っていて、その上で彼の音楽を
「キッチュでエキセントリックだけれど、素敵なセンスある音楽!」と思って聴いてきていて。
この映画を観て、ちょっとだけ、その音に"重み”が加わったような気がします。
...気のせいかもだけれど(苦笑)。
天才となんとかは紙一重、とはよく言われたもので。
まさにダニエル・ジョンストンはその紙一重上でゆらゆらとしながら音楽を生み出し
そしてついに一線を超えてしまった...
やっぱり私のような凡人にとって、その「生き様と苦悩」はあまりにも遠い。
けれど、そんな彼の断片(この場合は"彼の音楽”)に親しめて、気軽に楽しめるのは
とても幸せなことだなぁ...と。
今まで以上の愛情をもって、彼の音楽を楽しんでいきたいな、と思ったのでした。