日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

エキセントリック青年は機械仕掛け馬の夢を見るか?


ミシェル・ゴンドリーとガエル君の組み合わせなんて素敵過ぎる!
...と、ずっと日本公開を待っていた『恋愛睡眠のすすめ』を観ましたよ。


ええと。
正直に書いてしまうと、
ミシェル・ゴンドリーの“映像作品”としては満喫しましたが、
“映画作品”としては、イマイチ入り込めずに終わってしまいました...。うーん。


なんていうか。
とにかく私は『エターナル・サンシャイン』がものっすごく好きなんですけれど、
あの作品は、奇想天外な設定やエキセントリックちゃん&エキセントリック君を描きながらも
地に足が着いていたというか、“人間のどうしようもない愚かしさ”がベースにあって、
“恋愛”というものが体現するファンタジーによって、それが浮き彫りになってた気がするんです*1
で、この『恋愛睡眠〜』は、ありていに言えばオトコ版『アメリ』、不思議系男子の夢想物語。
天才肌で世間からははみ出しがちな青年の、頭の中。
イコール、ゴンドリーの頭の中。
ちょっと、自慰映画っぽいところもなきにしもあらず。
繰り出される世界観や映像のクリエイティヴィティ、クオリティは言うまでもなく。文句も無く。
だけどまあ、要するに、根本からしてたいして“理解”は求められていないし、
“共感できる人だけ共感してね”っていう感が強いような気がしてね。
実際、私は自他ともに認める妄想癖持ちで、
主人公ステファンがやってるような空想は、これまで山ほどしてきたし、
現在進行形でしてたりするわけなんだけれども。
だけど、やっぱり決定的に違うのだ。
私と“彼”とは。


要するに。
なんていうか。


私が逆立ちしたってどうしたってなれない、
“男の子”という生き物(おまけに天才肌)。
それに対する言いようの無いジェラシーみたいなものもあるのかも。
“これを理解できない私は、どうしたって「凡人」なのだ”という
卑下...までは行かないけれど、ちょっとした寂しさ。
そんなものを、鑑賞しながらも痛感してしまって。
だから、その「断絶」を楽しめなかった私が鑑賞者として未熟だというだけなのかも。



とりあえず、ガエル君は可愛かったです。超ファニー!
ただし、正直、
“こんなことするオトコ、ガエルじゃなかったら後ろから殴〜る!”とか思ったりもしたけど(笑)。
あ、
自らの化身役にガエル、そしてミューズ役にシャルロット・ゲンズブール
キャスティングしてしまったゴンドリーには、少しだけ親しみを感じられたけれどもね(笑)。

*1:ってことは、私はチャーリー・カウフマンが好き、ということなんだろうか?