日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

No Country For Old Men


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

すでにアメリカでは話題になってる、コーエン兄弟の新作『ノーカントリー』。
どうやらバイオレンスものらしい...
でも、とてつもなく批評家ウケしてるみたいで。
『SHOWBIZ COUNTDOW』でもちらっと映像みたけれど、久々にコーエン兄弟の作家性爆発!?
日本では3月ということで、なんとなくその原作を読んでみようという気に。


で、私は普段、この手のバイオレンス系?の小説も読まないのでどうかなーと思ってたんですが。
なんてことない、原作者コーマック・マッカーシーは純文学の人で、
この小説がちょっと異色なようでした。
でもって、私は不勉強でこの人の本を読むのは初めてだったんですが、
かなり独特の文体&描写形態なのですね...
(状況描写がひたすら羅列してあって、所謂、登場人物たちの心理描写が皆無)
最初は、ちょっと戸惑ったりもしたんですが(あまりにブツ切りで描写が淡々と続くので)、
結局は、すごく興味深く読めました。
その、サクサクと進む展開。
血なまぐさい暴力描写なのに、あまりにサクサクと淡々と書かれているので
読む側が麻痺してくる。
でもって、その“麻痺”こそが、現代アメリカ社会が陥ってる闇なんじゃないかなーと。
登場人物たちの心理描写は徹底して、なされない。
会話と、状況描写のみ。
だけど、浮き出てくるキャラクター。その人格の厚み/薄さ。


人間が等しく持っているはずの、命と身体と感情と。
そして、それをあっさりと壊すもの。
“運”とか、“神”とか、その他の呼び名で表される”人間ではどうにもならないコト”。
そう、“死”も、誰にも平等に訪れる。
加えて、たいていの人間は選べない。
生まれてくる場所も、日時も。そして死の瞬間も。たいていは。
だけれども、生まれたからには、終わる瞬間まで生きなくてはならない。


原題は『No Country For Old Men』。
老人には住みにくい国。
どこの国も、程度と方向性の差はあれ同じような問題を抱えてるのだな。
そして、この原作をコーエン兄弟がきっちりと映像化しているのなら。
確かに、批評家ウケは良さそう。
とりあえず、観れる日が楽しみです。