日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

the hallway

横浜トリエンナーレ、2日目。急激に寒くなった上に、結局、雨にも降られてしまいました...ので、とりあえず、今回の展示の中で最も楽しみにしていた(にもかかわらず、1回目の時は会場間違えて観れなかった)ミランダ・ジュライの“廊下”だけ目指す。待ち時間は、だいたい15分くらいだったかな...悪天候だったせいか、全体に人も少なかったのかも。テレビで紹介されたりもしたようなのですが、出来るだけ先入観を持たないように、ほとんど情報も入れず。順番待ちの列、一番最後尾で作品へ。(以下、ネタバレあり)


結構、ココロにずきんと来る作品でした。ファニーだし、語り口は優しいのにね。細い通路、観るものに語りかけるようなセンテンスが書かれたボード。それを1枚1枚、読みながら進む。その“廊下”は、わかりやすく”人生”のメタファーなわけで。なんだかんだで、いちいち、考え込んでしまうのでした。後ろに次の列の人たちが迫ってなかったら、もっとじっくり、対峙したかったかもなぁ。...だけど、そんな風に立ち止まって考え込みすぎてもダメだ、ともこの作品はいっていて。散々、語りかけ問いかけた末に、その“通路”は、私たちを“突き放す”。作られた通路ではなく、自分自身の道を歩け、と。


なんていうか、今回の展覧会の他の出品作を全て観た訳ではないけれど。現代アートというものが、感覚一発!だったり、凄く内側に向いたものだったりする性格を持つ作品が多い中で、こういう“明快でわかりやすい”作品は、やっぱり印象には残りやすいなぁ。(とりわけ、今トリエンナーレは映像作品が多くて少し整理がつきづらいし)おまけに、活字を追う作業もさせられてるしね。個人的には、英語バージョンも味わいたかったなぁ。日本語版では”幸”と表現されていた者が、英語版では“joy”で、そういう感覚の違いもちょっと興味深かったので尚更。人は、幸を見失って空っぽのココロでも性欲で生きてけるってことか......まあ、そんな気もするなぁ(笑。


ミランダ・ジュライは、監督作『君とボクの虹色の世界』も凄く好きだったので*1、また映画を撮ってくれないかなーとも思ったりしてます。

*1:その時の感想→id:akimi:20060424