日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

始まり、続いていくこと。

ザ・フー アメイジング・ジャーニー』(→HP※音出ます
仕事の関係で、ありがたいことに試写でちょっと前に観せて頂いたのでした。

The Whoに関しては、とても好きなバンドではあるけれど、熱狂的なファンの方たちなんかに比べたら全然、足下にも及ばない”にわか”でありまして、そのヒストリーや細かい部分に関しての知識は結構あやふやだったりする人間でして。だからこそ、来日前*1のタイミングでこのドキュメンタリーを観れたのは、この上ない幸運でした。
本当に、丁寧に愛情を持って作ってあるドキュメンタリー。亡きベーシスト、ジョン・エントウィッスルのプロフィールから始まり、そしてジョンの死...残された2人がこれからも尚"The Whoであること”を決意したところで終わる。The Who、そのヒストリーをしっかりと秘蔵の映像も併せて楽しめるので、まさに来日前の復習(予習?)にはぴったりな映画(だからこそ、個人的には日本ツアーの1ヶ月前くらいから公開したら良かったのに...と思ったのですが)。
ちょっとネタバレになるかもしれないけれど(でも結構有名な逸話?のような気もするんだけど)、作中のインタビューで、ピートがメンバーの不仲説のことについて「俺たち3人は天才だったけど、ロジャーは"ただのシンガー"だったから」ってすっぱりと語っていて(笑。「うわぁ...なんてことを言うのだ」とか思いつつ、一方のロジャーもそんな自分自身をちゃんと自覚していて。「でも、俺が歌うことでThe Whoの世界が完成する」という(自分の歌によって完成させてやる!くらいの)覚悟と自負を持ってThe Whoのメンバーたろうとしている姿に感動...。大事なメンバーを2人も失っても尚、ピートとロジャー、この2人がThe Whoとしてステージに立ち、音を出し続けてくれているという奇跡...!

音楽を、ロック・バンドを”続けて行くこと”の難しさ。それに伴って必要とされる、強い精神力や体力。
でもやっぱり、私はロック・バンドにどうにもこうにも憧れずには居られないのだ。私はバンドをやったことが無い故に、過剰に“ロック・バンドという共同体”への幻想を持っていることは否めないのだけれど。そしてThe Whoは、観たら、聴いたら、そんな幻想を抱かずにはいられないバンドの1つなのだ、私にとって。

とりあえず、このドキュメンタリーはロックンロールにほんの少しでも興味がある人ならば、観ればきっと、何かしらココロを動かされるのではないかなぁ。私はとりあえず、ちゃんとお金払って、劇場でもう一度、観ます...。

*1:来日公演の簡単過ぎる感想→id:akimi:20081117