日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

 女王のなりたち


アルノー・デプレシャン『キングス&クイーン』を観ました。

                                        • -

35歳の女性、ノラ。間もなく幸せな再婚をする予定。
が、その目前に最愛の父が末期のガンであることが発覚ーー
そして、父の最期に直面しながら同時に
自らの過去と、そして哀しい事実と向き合うことに。
一方。
そのノラと一時一緒に暮らしていたことのある
天真爛漫なヴィオラ奏者、イスマエル。
彼はいきなり精神病院に入院させられる。何故ーー?



メインのパートは、このふたつ。
ノラとイスマエルの、数日間。
どこまでも辛い彼女の日々と、
どこまでも混乱だらけの彼の日々。
そこから、浮き彫りになってくるものは…

                                        • -


…すごく良い映画でした。
こんな言葉でしか、書けない。


とりあえず、とても、心臓が痛かった。
針の蓆に座らされてる気分。
自分、というか
“女という生き物”というものを、改めて考えさせられたというか。
世の中には男と女しかいなくて。
その世界の中で、生きていく。



たぶん、女性と男性では、この映画で感じるものはかなり違うのかも。
B君と一緒に観たのだけれど、
彼はやっぱりイスマエルに感情移入してたこともあって、
かなりこの映画をお気に召した模様。
私はやっぱりどうしてもノラ側に立ってしまいがちで、前述したとおりとても辛かった。
だって、すごくすごく良くわかるんだもん!!!(苦笑
だけど、このイスマエルというオトコが
とてもとても魅力的だったので、そのパートにだいぶ気分を救われました(笑。
あと、イスマエルが病院で出会う女の子“アリエル”がとても可愛くて。
彼女の振る舞いにも、すごく感情移入してました。
「ああ、わかる! わかるよ!!!」と(笑。
ノラとアリエルは、たぶん両極端な気がする。
たぶん、どちらも女性ならばみんな持ってる側面で。
私はその姿に痛みを感じながらも
自分の中の“彼女たち”を改めて愛おしいと思ったのです。