日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

愛しい。

11分間



『11分間』パウロ・コエーリョ

実は、1週間ほど前にこの人の代表作『アルケミスト』を読みまして。

とても有名で、世界的な大ヒット作だったようですが、

いやはや、恥ずかしながら店頭で手に取るまで、全く知らなかったのですが。

でもでも。

読んでみて、そのヒットも納得といいますか……。

ものすごく、大好きな作品、作家となりました。

私は結構速読派というか、斜め読み的にばーーっと読んでしまうタイプなのですが、

『アルケミスト』は、ものすごく丁寧にじっくり読みたい本だ、と感じたし、

何より、本当にその世界に感応しすぎて

「この物語を読み終わりたくない、もっとこの世界に浸っていたい」と思ったのです。

本を読んでそんな気持ちになったのは、かなり久しぶりで。

とても素敵な本に出会えた喜びを感じていたのでした。

そしたら、ちょうど新刊が出るということで。

もう、喜び勇んで購入いたしましたとも。



そして、この『11分間』。

テーマがずばり“愛とセックス”。



ブラジルの田舎町に生まれ、少女時代の経験から“恋”に絶望したマリーア。

とある巡り合わせでスイスはジュネーブで娼婦をし暮らして行くことになった彼女が

帰国資金を貯めるための1年間で感じ、考えたこと、そして出会った人々との物語。





正直、『アルケミスト』は少年が主人公で“夢と希望”が主題の、児童文学に近いものだったので、

この題材には一瞬面食らいましたが。

いやはや、でもやっぱり、とてもとても好きなお話でした。

とにかく、ちょっと穿った捉え方をされそうなネタですけど、

変な期待を持って読むと肩すかしを食らいそうなほど、とても真面目に“人生の題材”として取り上げられていて。

とにかく、読んでいて面白いし、興味深いし。

あっという間でした。

(「ううう、こんなにざくざく読んだらもったいない〜、でも止まらない〜」という葛藤のもと)





『アルケミスト』もそうでしたけど、この人の話はすごく観念的というか哲学的というか?

“自らと向かい合うこと”ということ、そしてその重要性が、とても上手く物語として描かれていて。

読んでいて色々考えさせられたり、身につまされたり、自分と置き換えてみたり……

「読み手の感覚」や「思考力」を、この上なく絶妙に刺激してくれるのです。

その手法も(ちょっと押し付けがましい(?)感もなきにしもあらずですが)リズム感があって、スマートな感じで。

多分、単純に私ととても波長が合ってるのかも???

あああ〜、楽しかった。

またしばらくしたら、読み返そうと思います。

パウロ・コエーリョの他の著作も、もっと読んでみようと思います。





ああ、久しぶりに読書する楽しみ。

もっと若いうちに出会えていたら、私も違う人生を歩んでいたかも?

(いや、今からでも遅くないかしらん???)