日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

タクシードライバー

仕事のシフト上、週に1度は深夜にタクシー帰宅になってしまう日ができてしまうのです。でもって、これまでたくさんのタクシーに乗車してきたんですが、先日乗車した車の運転手さんは、かなりのキャラで気圧されました。
副業的に占いをやってるらしくて、開口一番「占いはお好きですか?」 「はあ、まあ...」と返した瞬間から、マシンガントーク。まずは自分がどんな風に占いと出会い、占いが自分の人生にいかに影響を与えてきたか、運転手さんのプロフィールを総ざらい。ほんの10分程度で、その方の結婚&離婚歴やお子さんの状況などその人生の大勢を把握(苦笑)。人に「占い好き?」って訊いといて、こっちを占ってくれるのかと思いきや、単に自己アピールしたいだけなのね......まあ、変にこちらの生年月日とか訊かれたりしなくて良かったと言えば良かったけれど。
その初老の男性運転手さんのコトバは止まらない。「芸能人になりたかった」と夢を語り、乗せた有名人に占いネタでアピールした話とか、今も番組のエキストラ募集に参加してるとか。乗せたお客さんのつてで取材を受けたこともあったとか。スコセッシの『タクシードライバー』の主人公トラヴィスも“ひとかどの人物になりたい”という野望を抱いたタクシー運転手だったわけだけれど。ここ日本にも、そんな想い*1を燻らせて深夜を流してる人もいるんだなー。
しかし。色んなエピソードとか、占いと時勢の話とかもっともらしく語るわりに、正直、その方自身があまり占いをご自身の人生に上手く乗り切れてないのでは...とさえ思ってしまい。この方には、あんまり占いの相談はしたくないなぁ...と。だって、有名人になる夢は当然叶っておらず、何十年も占いを勉強しながらも、いまだにタクシーの運転手と兼業してるくらいだし*2、自分のことを喋るばかりでこちらの話を聞く気はなさそうだし(笑)。でも、降りる時には、「何か相談事があったら電話して」って番号渡されました...。まあ、30分ほどの時間つぶしとしては、退屈しないお話を聞けたなぁとは思ったけれど。いやはや、色んな方がいるんだなーと久々にしみじみと。東京の夜空の下、それぞれの人生。

*1:方向性はだいぶ違うけど

*2:別にタクシー運転手というご職業がどう、ということではなく、占い一本では食べて行けてないということ