日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

男だけじゃなく女だってダメダメだ

ずっと公開を楽しみにしてた『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『寝取られ男のラブ♂バカンス』を観てきました。

どちらも『40歳の童貞男』の監督、ジャド・アパトウが一方は監督、一方は製作をしてるコメディ。
作品を全部観れてるわけでもないので(だって日本に来ないし...)海外サイトとかの評論の受け売りになってしまうけれど、アパトウ組の作品のテーマは基本的に”オトナになりきれない男の成長譚”。...というわけで、この2本も、阿呆な邦題が付いてる&まあ下らないギャグや下ネタも多いけれど、ベースはやはりまっとうな物語でした。面白く、その上、なんとなくラストにはジーンとしてしまう。こういう“上手さ”が、アメリカでもウケてるのかなー。おまけに、主人公男性のダメさが、変に現実離れしてないというか(映画的に誇張とかされてないというか)、“あるある”ネタ的にも楽しめる...というところもあるのかもしれません。でもって、私としては、この2作で描かれてる女性たちに、妙な”あるある”的痛さを感じて、少々いたたまれなくなってみたり...(苦笑。男性だけでなく、女性のサンプリングも上手いとは! やられました。なんていうか、反面教師といいますか...気をつけよう(笑。以下、ネタバレ含む感想。


『ノックトアップ』は、お気楽テキトーな無職男子ベンとテレビ番組でキャスターに抜擢されたヤリ手美人女性アリソンが酔った勢いで一夜を共にしたら子どもが出来ちゃった! ...というお話。『スーパーバッド/童貞ウォーズ』で、主人公達が“女の子たちの酔った勢いの過ちってやつの相手になるんだ!”って台詞を言ってましたが、まさにそれが現実に起きてしまったケース。主人公のベンは、事故でせしめた保証金でひたすら遊んで暮らしてる(おまけに不法滞在中)冴えないおデブ君という、ほんと“酔った勢いでもナイだろ..."と思ってしまうくらいの男。一方ヒロインのアリソンは、お固い美人なんだけど、裕福な姉夫婦の家に居候してる程度の甲斐性で、仕事には生真面目(でもなんかちょっと方向性が間違ってるような気も)。姉夫婦の実態を間近で見てる&姉から男に関して吹き込まれてる?...せいか、結婚や男性に対して妙に偏った見方をしてるというか“こうじゃなきゃならない”的ガチガチな考えの持ち主。結局、子どもを産んで育てることにしたアリソンとそれにパートナーとして協力することになったベンなのだけど、どうにも相容れない2人の性格と境遇...はて、どうなる?という。
なんていうか、コメディだけど現実的にチクチク来るようなネタが散りばめられてて、先にも書いた通り、私はアリソンとその姉の描写を観て、色々、考えさせられましたよ...。結局、仕事バリバリやってイキがってても、女はいざ“妊娠、出産、子育て”となると、やっぱり一人では不安になるし、誰かと手と手を取り合いたいって思ってしまうんだろうなぁ。一方で、伴侶も子どもも理想的な暮らしさえ手に入れても、まだ求めてしまう女の欲深さとか、老いることや“女じゃなくなること”への恐怖心とか。そういう“女だってダメじゃん”ってところもちゃんと取り上げつつ、でもこの作品に描かれる男性は、そういう女に対して”勝手だよなー”“偉そうだよなー”とかボヤキながらも、ちゃんと向き合ってるところがいいなぁ...と、しみじみ。というか、私が主人公ベンを“ダメだなー”と思いつつ、最初から唯一”ここはいいかも”と感じてたのは、彼がいつもアリソンと会う時、二言目には“綺麗だ”って彼女を褒めていたところ。なんだかんだで女は褒められると嬉しいしココロを許してしまいがち...なような気がするので。結局、男も女も単純なんだな。あとは、アリソンがヒス起こしたのを自分のホルモンバランスのせいにして、ベンがそれを受けて、“女性ホルモンを批判する”というシーンがあったのだけれど、そこが妙にツボ入った。でもぶっちゃけ、ほんとに女はどーしよーもなくソレに振り回される時期があるんです...。こればかりは男性には本気で諦めてもらうしかないんですけど...。世の男性は、こういう女性の言い訳を聞きまくってて、そして釈然としてないんだろうなぁ...。それが表れてるシーンでした。ほんと、上手いなぁ(笑。.......個人的には、この映画はカップルで観たら、踏み絵的というか、上手く話題を発展させれば互いの将来に関する内心が曝け出しやすいんじゃないかと。なのでFを連れて行かなかったのを、ちょっと後悔しました(我ながらサイテーだ/苦笑。


寝取られ男のラブ♂バカンス』は、人気テレビ女優サラと5年間交際してきた、これまた冴えない風貌のミュージシャン、ピーターが、ある日突然、サラから別れを告げられるシーンからスタート。そのサラは、イギリスの人気ロックバンドのヤリチンフロントマンと付き合い始め、悲しみに暮れるピーターは気分転換にハワイへバカンスに。そしたらホテルの隣の部屋にはサラと新恋人が滞在していた...という物語。“優しさだけが取り柄”みたいなピーターは、可愛い彼女の存在に胡座をかいて日常の小さい努力を怠った。男性にとっては、“相手を想う気持ちと優しささえあれば他に何が要る?”というところなのでしょうが...女はやはり欲深いイキモノにて。まあ、サラが中盤涙して訴えた「貴方は解ってくれなかった!」っていう部分には多少、共感したところもあったけれど、だからといって浮気して良いものじゃないからねぇ...。とりあえず、ずっとうじうじ落ち込んでたピーターの前にも、違う素敵な女性が。その女性との交流の中で、ピーターは、適当に満たされた状態で満足し前進する勇気を持たない自分を認識。本当に自分がやりたいことを始める決意をする...という。でもって、サラはピーターが他の女性といい雰囲気なのに嫉妬する...という、まあ解りやすい展開。この“サラ”という女性も、女の“なんだかなー”な性質を体現したようなキャラクターで(苦笑。なかなか、観ていて切ない気分になりました...。そんなこんなで、基本的には、“一人の男が、失恋から本当の自分を取り戻す物語”。とりあえず、この作品も、ちょこちょこ挟まれるコネタが面白かったです...サラが出演した映画のネタとか。サラの恋人のロックミュージシャンのキャラとか。


何はともあれ、この2作品、「どうせ日本公開はなくてDVDストレートなんだろうなー」と思っていたところに、期間&公開館限定ながらちゃんと劇場公開があってすごく嬉しかったです。おまけに2本立て! 色々苦境にあると言われている洋画界隈ですが、本当に求めてるところにちゃんと届けてくれる姿勢は素敵だなーと。まあ、ぶっちゃけ、「アメリカのコメディに1800円も払えないよー」という方が多いのも現実ですしね...ちなみに、この2本は、すぐDVDがリリースされるようなので、興味有る方は、是非。どっちも、“素敵な物語”であることは保証しますので。