日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

暑いよ、暑いよーーーーー。
晩秋の空気さえ漂っていた北海道から一転、
残暑厳しすぎる東京の空……。
とりあえず、木曜日に半日会社へ出て、
また本日もお休み。
目黒の庭園美術館へ、マリー・ローランサン回顧展へ。


妹が絵の道を志していたので、
中学高校の頃から、家族でたまーに美術館などへ行ったりしていたのです。
その時、生まれて初めて“生の絵のオーラ”というものに
惹き付けられやられてしまったのが、マリー・ローランサンだったのでした。
なんていうか、あの画風はあんまり“生の迫力”とかと無縁だと思われると思いますが、
そして私も今でも、客観的にはそう思うのですが、
その時、幼い(?)私は、
彼女の絵が持っている言い様のない空気感みたいなものの虜になってしまったのです。
地方の小さな美術館が所蔵するその絵は、
彼女の作品としてはあまり有名ではないのかもしれないけど。
あの色使い、あのタッチで、ひとりの少女がこちらを見つめている絵で。
まあ、本当に、典型的マリー・ローランサンの絵画。
今思うと、すごーく、色っぽく感じたんですよね……。
で、今回、彼女のたくさんの作品を生で目にして、
やっぱり私にとってマリー・ローランサンの絵は
「エロティシズムを感じさせる作品」だという認識を改めて持ちました。
特に好きな女の人を描いてあるのとか、もう、思い入れが籠ってるもの(笑)。
あんなファンシーで少女趣味的な画風なのにね、
そこに込められてるのがドキドキさせられるような
“女の情”的思い入れ、っていう風に、
私には感じられてしょうがないのです。
あくまで、これは私の解釈というか、私が感じるだけなので、
私がちょっとおかしいのかもしれませんが…………。


それにしても、ローランサンはおばさま世代に大人気のようで、
(まあ、それは理解できますが……)
やはり美術館はそんなご婦人方がたくさんだったのですが。
お願いだから、大声で聞きかじり批評をしないでーっ。
なんで黙って味わえないのかしら……。
しゃべりたいなら、美術館を出てからお茶しながらでも存分にしようよ。
どうして周りを気づかえないのかしら……。
っていうか、そこで大声を出して批評めかしたことを発するなんて、
きっと絵、そのものにはそんなに集中できてないんだろうな……。
それは仕方ないこととしても(好みは人それぞれだしね)、
本当に、空気を読む、ということだけは学習していただきたい……。
そんな中で、私の隣で、うっとりと眺めながら
“素敵ねぇ……”とポツリと漏らしていたひとりのご婦人。
心を動かされて、どうしても漏れてしまったっていうその一言。
私も心の中で、大きく頷いていました。
絵の感想なんて、それで十分な気がする。
だって、私たちは素人なんだもん。
“どうにも心を動かされる”、あの感じを持ち帰るだけでいっぱいいっぱい。
それにしても暑すぎたー。
私もちょっとイライラしすぎていたのかもしれません。
ローランサンの世界はとても涼しげで、
私もあの中に入り込みたい、なーんて思ってしまいました。
早く来ないかな、本格的な秋……。