日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

春なのに。

殺人の追憶 [DVD]

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殺人の追憶ポン・ジュノ監督





もう。

本当に、素晴らしく。

いやはや「いい映画観た〜」という充実感を味わえた作品でした。





80年代後半〜90年代前半、いまだ軍事政権が国を治めていた時代の韓国。

そこで実際に起き、そして未だに犯人が逮捕されていない猟奇殺人事件。

その解決のために奔走する刑事の話なのですが。

なんか、日本では「サスペンス」としてジャンル分けされてるみたいですが、

上にも書いたとおり「未解決事件」が題材なので、それは間違い(だと思う)。

これは、重厚な人間ドラマだと私は位置づけてます。

もちろん、犯人逮捕に向けて捜査する刑事たちが主人公なので、

彼らと一緒に「推理」はできますが、

結局、その「回答」は与えられずに、映画は終了してしまいます。

なので、そういう部分を求めたら、絶対に消化不良に陥ってしまうのは必須。

でもそんな謎解きなんかより、よほど、登場人物たちを凝視していた方が興味深かったです。

演技が、すごく雄弁なんですよ。

だけど、観ている側に「こうなのかな?」と心理を探らせる隙間も残していて。

なんかもう、上手いです。色々が。





でもって、先に書いたとおり、この事件が起きたのは“民主化前”の韓国。

軍部が政権を握り、警察は、嫌な言葉遣いをすれば“権力の犬”として、

一般市民の治安より“政権のための統制”の仕事の方が優先されたような時代。

結果、止められない連続殺人。結果、取り逃がした犯人…………。

この映画は、そういう混迷していた時代へのアイロニーに満ちていて。

でも、それが主題として前面に現れているわけじゃなくて、

あとから「そうだったのか」と膝を打つような。





なんか、書けば書くほど、わけがわからずまとまらないので、もういいや(苦笑)。

映画が好きな人ならば、是非観ていただきたい。本当に。

相方にもすごく薦めてるのに、韓国映画ってだけで引いてしまってて。

ちょっともったいないように思う…………。ううーん。









あともう1本、『グッバイ!レーニン』も観ました。

これは相方氏と。

いやはや、こちらもまた別の方向からすごく良かったです。

これはもう、まさに「ヨーロッパ印!」って感じの作品でした。

こちらに関しても、そのうちちょこっと所感を書こうかと思います。