日々の泡立ち

泡立っては消えていく言葉の置き場。

初恋を確認する

ここのところ、妙にアクセス数が増えた...ということで
自分でもほぼほぼ忘れていたここのことをまた思い出す。
どうやら、某ソシャゲの新キャラ?関連で、
大昔に書いたエントリが検索上位に出たみたい。
せっかく来てくださったのに、まったく関係ない変な日記読まされてスミマセン...


そんなこんなで久しぶりの日記。
自分の中で、時々、少女漫画作品に対する盛り上がりがくるのだけど、
今回は、上原きみ子先生の『こちら愛!応答せよ』。

comics.shogakukan.co.jp

小学館のHPにはすでにあらすじさえありゃしない...ので、
文庫版のアマゾンのリンク。

「山へくると、素直になれる」
愛は高校1年生。山嫌いのはずが、ふたりの男の子と出会って……!?
壮大な山々を舞台に描く、愛と青春の日々!!
昔、嵐で怖い思いをして以来、愛は山が嫌いだ。そして、愛を山に連れていってくれた大好きな兄は、今、剣岳で眠っている。
愛は入学した高校で、中3の時、山で出会ったふたりの男の子に再会する。やさしくてあこがれの中尾先輩、それから無愛想でクールな北沢くん。山岳部のふたりの影響もあって、愛は徐々に山に惹かれていくのだが……!?
壮大な山々を舞台に、上原きみ子が描く、青春グラフィティーの決定版!!

小学生のころ、近所の幼馴染が『ちゃお』を買っていて、毎月回し読みさせてもらってた、その連載のなかの一篇。
上原先生の絵柄は当時でも連載陣のなかではすでにちょっと古めな印象になっていて、かつ、舞台は山岳部...という地味にもほどがある内容だったのだけれど、私にはかなり深く刻みつけられていたみたいで。
数年前、京都のマンガミュージアムで再会して以来、熱が盛り上がって単行本を揃えた作品。
なにせ30年以上前の作品なので今読むと時代を感じざるを得ないし、
上原先生は当時もお忙しかったようで設定とか細かいところが時折ぐらぐらしてたり、ドラマチックにもほどがある物語展開だったりするのですが、とにかくもう大好き。
とりわけ、ヒロインである愛ちゃん*1を巡る男子2人のうちのひとり、"北沢佑介"というキャラクターが。
たぶん、私にとって二次元キャラの初恋は彼だったんだな…
そう思い至り、(なんであんなにも記憶に刻み込まれていたのか)自分なりに納得。


北沢佑介。
山を、クライミングを心から愛し、才能も実力もある超!超ストイックな高校男子……
その信条は、"恋人とはザイルを組むな!"
ヒロイン・愛にクライマーとしての資質を見出し、ザイルパートナーとして育てていく。

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(出典:『こちら愛!応答せよ』2巻)

複雑すぎた亡き両親の関係や幼い頃から山を登るなかでさまざまなオトナたちの姿を見てきた故、
本当に高1?と言いたくなるほど達観していて、
いわゆる三角関係の1角のはずなのに、ヒロインに対してほぼほぼデレがない……
でも、愛ちゃんがクライミングにおいてちゃんとできた時はしっかり褒めてくれる…
絶対、愛ちゃんを特別に思ってるはずなのにまったく自覚してない鈍感さ……
嗚呼、めっちゃ良い…… 今読んでも良い……すき……
うーん…彼の、この作品の素敵さを言葉で表現するのは難しいな。


少女漫画ながら、
山のとてつもない厳しさ、そしてその厳しさと表裏一体の山だからこその魅力…というものが表現されていると思います。
この作品のおかげで、NHK BSとかでやってる山岳系の番組とか好んで見ちゃう。
私は根性なしなので自分の足で登るのはとても無理だろうけど。


ああ、私の初恋。
単行本で簡単に振り返って浸れるシアワセよ。

*1:まっすぐ・前向き・頑張り屋。少女漫画のヒロインとして完璧な愛すべきキャラ